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42番 清原元輔 波は末の松山を越え、冠は落ちるもの?

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~末の松山とは~  「 君をおきてあだし心をわがもたばすゑの松山浪もこえなむ」(古今集・陸奥歌) (末の松山は高台にあるので、波が越えるはずがない、ぼくの心も一緒、浮気なんて絶対しないよ) 「末の松山」は古今集の陸奥歌を下敷きにした、ちょっと特別な地名です。「末の松山を越えたりしない?」「うん、ぜったい越えない」は、「浮気したりしない?」「うん、絶対浮気しない」という意味。泣きながらあんなに約束したのに、いったいどうして、と元輔さんは言います。「ちぎりきな」の「き」は直接経験の過去の助動詞。元輔さんの経験談ですって。ほんとかな。 ~清少納言パパ~   元輔の娘、清少納言は『枕草子』*のなかで「歌よむと言われし末々」(著名な歌人の子孫)と自分のことを言っています。自分がつまらない歌をよんだら、亡くなった父や祖父に申し訳ない、だから、でしゃばって歌を詠みたくないとも。祖父は 36 番清原深養父。父の元輔は『後撰和歌集』の撰者。あの清少納言に、撰者の子が下手な歌を詠むわけにはいかないと思わせるほど、大きな存在だったのです。   *『枕草子』5月の御精進のほど ~冠落ちちゃった事件~  歌人として尊敬されていた元輔の、冠落ちちゃった事件は『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などに載っています。落馬して冠が脱げたのに、見物していた若い殿上人たちに、馬は悪くない!私のあたまには髷がないのだから、冠が落ちてもしかたがない!などと演説してまわって、みんなを笑わせました。   * 『今昔物語集』巻28-6 歌読元輔賀茂祭渡一条大路語  **『宇治拾遺物語』巻13-2 元輔落馬の事 (文:野澤千佳子) ◉ご支援ください◉ 新型コロナで自粛により大きな影響をうけましたが、この逆境をバネに新しい事にチャレンジします。この機会に皆様が文化芸術を楽しむ機会を一つでも多く、微力ながら作っていきたいと思っています。野澤千佳子が台本を書き、金子あいが自宅で演出、出演、撮影、デザイン、編集の全てをコツコツ一人で作っているYouTube動画「おうちで読もう百人一首」。シリーズ化のご要望を受けて、全国からタニマチ的ご支援をいただけましたら幸いです。 =========== 「投げ銭」口座 ゆうちょ銀行 〈郵便局からの場合〉 記号:10030