9番 小野小町 ~深草の少将~

能「通小町」より、涙にくれるふたり。 左 深草少将 右 小野小町 ~深草の少将~ 「浅草だか、深草だか…」ビデオの中では名前もあやふやでしたが、深草の少将の百夜通いのエピソードは、能「通小町 かよいこまち 」「卒塔婆小町 そとばこまち 」などに描かれています。九十九日通ったところで力尽きた少将の妄執が、死んだ後も小町にとりついているという哀れなお話。 能「通小町」より 深草「小町!ぼくをおいて一人で成仏しないで」小町「……」 ↓このHPでとてもわかりやすく紹介されています。 the 能.com https://www.the-noh.com/jp/ 能「通小町」 かよいこまち https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_023.html なお、上の2枚の絵は、著作権の関係で画像を使用できないので、ちょちょいと野澤が描きました。能の所作って、手の使い方がとてもきれいですね。 ~小町文塚 ふみづか ~ ラブレターのお墓は京都の随心院 ずいしんいん にあります。お寺のある一帯はかつては小野氏一族が住んでいたところだそうです。京都市営地下鉄東西線「小町」駅下車。駅名まで小野。 随心院 小町文塚 小町「あら、なんだか立派な塔がたってるわ。すご~い」 =では、以下、しょうしょうマニアックなお話を= 歌論議(うたろんぎ)~しぢのはしがき~ 百夜通いの原型は「歌論議」にあると、平安末期の歌学書『奥義抄』(おうぎしょう 藤原清輔著)が紹介しています。男性の求愛を断り続けたという小野小町の伝説が、以下に紹介する歌論議の説話と合体して、架空の人物、深草少将の百夜通いの説話が生まれました。 信貴山縁起より 榻(しぢ)は、牛車から牛を外したあとの轅ながえを置く台。踏み台にも用いた。 むかし、なかなか思いどおりにならない女に求婚する男がいた。愛しているよと言ったところ、女は試してみましょうと言って、男がなんども通ってきては声をかけていた場所に〈しぢ〉を置いて、「この上で百夜続けて夜を明かしたら、あなたの言うことを聞くわ」と言った。そこで男は雨の日も風の日も、日が暮れるとやって来てはそこで横になっていた。〈しぢ〉の端にそこで寝...